一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
メタボリックシンドローム撲滅運動 協賛連載

4. 高血圧とメタボリックシンドローム Q&A

監修/猿田 享男
日本生活習慣病予防協会理事
慶應義塾大学名誉教授

Q.よく「上の血圧」とか「下の血圧」とか言いますが、どういう意味なのでしょうか?

A.前回も言いましたが、血圧とは、血液が血管(動脈)を流れる際に、血管の壁にかかる圧力のことです。では、どんなときに血管の中を流れる血液量が変化するのかというと、それは心臓が収縮して血管に血液を送り出したときですね。心臓が収縮したときには、まとまった量の血液が血管内部に送り出され、血管壁に高い圧力がかかります。つまり、血圧が高くなります。よく「血圧の上かいくつ」とか言いますが、それは心臓が収縮して血液が送り出されて最も血圧が高くなったときの血圧値のことです。専門的には、「収縮期血圧」あるいは「最高血圧」と呼んでいます。

 反対に心臓が膨らんで(拡張して)、心臓が血液を送り出す働きをしていないタイミングでは、血管壁にはあまり高い圧力がかかりません。その状態の血圧値が「下の血圧」、専門的には「拡張期血圧」「最低血圧」と呼んでいるものです。

Q.収縮期血圧が高いときと、拡張期血圧が高いときで、なにか意味が違うのでしょうか?

A.いろいろな病状があるので一概には言えませんが、一般的には、収縮期血圧が高いことは、心臓が強い力で血液を送り出さなければならない状態であり、たとえば末梢血管が強く収縮したりしている時です。拡張期血圧が高いことは、心臓に近い大動脈の弾力の増加と末梢の細い血管抵抗が増強している時です。

Q.高血圧の診断基準を教えてください。

A.収縮期血圧が140mmHg以上、または、拡張期血圧が90mmHg以上のときに、高血圧と診断されます。

 なお、家庭血圧(市販の血圧計を用いて家庭内で測定する場合の血圧)は、精神的な緊張がないことなどから医療機関で測定するときよりも通常は低い値になるので、収縮期血圧135mmHg以上、または、拡張期血圧が85mmHg以上で、高血圧と判定します。

Q.メタボリックシンドロームの診断基準にある血圧の基準値が、高血圧の診断基準値よりも、厳しい数値なのは、なぜですか?

A.メタボリックシンドロームは、複数の生活習慣に基づく病気やその予備群が重複して動脈硬化を進行させる状態です。それぞれの病気の程度を個別にみた場合、必ずしも深刻ではなく、すべてが見過ごされてしまい、結果的に動脈硬化の進行を許してしまう可能性が少なくありません。そのような状態を見逃さずにしっかり治療につなげるために設けられたのが、メタボリックシンドロームの診断基準です。よって、より軽度の血圧異常も、無視できないわけです。

 事実、メタボリッシンドロームに該当する場合の心臓血管の病気(狭心症や心筋梗塞)の発症率を、メタボリッシンドロームではない人の発症率を1として比較すると、高血圧の診断基準の140/90以上だと2.1倍に増えますが、メタボリッシンドロームの診断基準の130/85以上にまで下げて比較しても、なお1.8倍に上ることが示されていて、あまり差はありません。内臓脂肪型肥満の場合は、より低めの血圧でも、注意が必要だということです。

Q.治療の目標値は、どくのくらいですか?

A.高血圧の一般的な降圧目標は、若年・中年者では130/85mmHg未満です。ただ、高齢者の場合は、すでに動脈硬化がある程度進行していて、血圧を下げることにより臓器の血流不足が起きる心配もあるので、一般にやや高めの140/90mmHgが目標とされています。一方、高血圧によって臓器の障害が進行しやすい状態である、糖尿病や腎臓病の患者さんには、より低めの130/80mmHgが目標とされます。

Q.肥満の場合、どのくらい減量する必要がありますか?

A.肥満は塩分過多と並ぶ高血圧の主要原因の一つです。肥満で高血圧の場合、減量することで血圧もずいぶん下がってきます。理想的なことを言えば、肥満が解消されるまでの減量、つまり標準体重に近付けることがベストですが、実際には、現在の体重から4〜5kg程度の減量でも、かなりの効果を期待できます。肥満に該当する方にとって、この程度の減量はそれほど難しくはないはずですので、ぜひがんばってください。

 なお、肥満に該当しなくても(BMIが25未満でも)、ウエストサイズがメタボリックシンドロームの基準値(男性は85cm以上、女性は90cm以上)を超えている場合は、ウエストサイズを指標にしたダイエットが必要です。

Q.高血圧の治療でよく減塩が勧められますが、どのくらいまで食塩を摂ってよいのでしょうか?

A.日本人の1日あたりの食塩摂取量は、平均で11〜12gです。これは、欧米人に比べてかなり多いです。日本食は伝統的に高食塩で、みなさん塩辛いものに慣れ過ぎているのですね。
 現在、高血圧の患者さんには、1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることが目標とされています。調味料として食塩やしょうゆ、みなどを全く使わなくても、約2gの塩分が食事とともに体内に入ってきますから、調味料として使うのは、それを除いた分です。

 急にここまで減塩するのは現実的ではないので、最初は8〜10gを目標にしてもよいでしょう。それが達成できたら、時間をかけて少しずつ、塩分摂取量を減らしていってください。

2006年10月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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