2014年12月19日
結婚生活に大きく影響 夫婦円満の秘訣は「家事の役割分担」
カテゴリー: 三多(多動・多休・多接) ストレス関連疾患/適応障害
ゴミを出す、皿を洗う、洗濯をする。こうした毎日のありふれた雑用が、結婚生活の満足度に大きな影響を与え、夫婦仲がうまくいくか別れるかといった問題に発展する可能性がある。
家事分担が夫婦間のストレスをやわらげる
米ワシントン大学のジョン ゴットマン教授は、結婚について問題を抱えている30組のカップルを対象に実験を行った。
ゴットマン教授は、研究室にカップルを招き、夫婦の関係について話し合ってもらった。会話をビデオに撮影し、血圧や心拍数、血流速度、発汗、皮膚の電気伝導度の変化などをモニターした。
その結果、結婚に対する満足度の高い夫婦と、そうでない夫婦に決定的な違いがあることが判明した。関係がうまくいかない夫婦は、会話をしていると心拍数が上がり、血流が速くなり、発汗量も増えていた。
心拍数や発汗量の上昇といった生体サインは、ストレスに対処するための自律神経の働きを示し、隣に座るパートナーとの関係に緊張が生じ攻撃的になっていることを示している。
しかし、家庭での家事分担ができている夫婦では、生体サインが安定しており、夫婦間での衝突を回避しやすい傾向がみられた。実際に、6年後に離婚したカップルの割合も低かったという。
家事分担ができていると夫婦の幸福感が向上
米イリノイ大学の研究チームは、結婚後2年以内の夫婦220組を対象に調査を行った。夫婦が家事の役割分担についてどのように認識しているかや、実際にどのように家事を分担しているかをアンケート調査した。
調査結果を分析したところ、家事分担の仕方が夫婦間で平等でない場合、結婚生活の満足度が低下する傾向がみられた。特にその傾向が顕著だったのは、女性の方が「役割はもっと平等でなければならない」と感じている場合だった。
結婚生活の満足度に関するこれまでの研究は、夫婦の一方についてだけ調査されることが多かったが、今回の調査では、家事の分担について男女で認識の相違があることが示された。
女性の多くは「家事は平等に分担されるべきだ」と感じており、そうした考え方が夫婦間で共有されていると、結婚生活に対する満足度が高くなる傾向が示された。
一方で、男性は、家事分担の問題と満足度には直接的な相関関係はないと考えたがる傾向がある。「男女では相違がある」「家事は女性が行うもの」と考えたがる男性は多いという。
「認知レベルと行動レベルの両方で、家事の役割について夫婦の考え方や行動に食い違いがあると、夫婦仲に不調和が生じやすいことが明らかになりました」と、イリノイ大学のブライアン オゴルスキー教授(人間発達・家庭学部)氏は述べている。
「夫婦の家事の役割分担についてお互いがどう考え、期待しているかについては、結婚生活の幸福感に大きく影響します。この問題は早いうちに夫婦で話し合っておくべきでしょう。家事の役割分担について、男女平等の考え方を重視する配偶者がいる場合は特にそうです」と、オゴルスキー教授はアドバイスしている。
家事分担の不平等が女性のストレスの原因
When newlyweds believe in sharing household chores, follow-through is everything(イリノイ大学 2014年5月6日)
Domestic Work and Psychological Distress−What Is the Importance of Relative Socioeconomic Position and Gender Inequality in the Couple Relationship?(PLOS ONE 2012年6月13日)
(TERA)