2015年01月26日
認知症患者の「生活の質」をチェック 9項目の質問に答えるだけ
カテゴリー: 一無(禁煙) 二少(少食・少酒) 三多(多動・多休・多接) ストレス関連疾患/適応障害
岡山大学の研究グループが、認知症患者の「生活の質」を簡便に評価するスケールを開発した。認知症患者の「笑顔」や「喜び」といった陽性感情に、より焦点を当てた簡便で客観的な評価スケールが開発されたのは、世界でもはじめてだという。
スケールを開発したのは、同大大学院医歯薬学総合研究科精神神経病態学教室の寺田整司准教授ら。国際老年精神医学会の学会誌「International Psychogeriatrics」に発表された。
「生活の質」を高めるために、客観的な評価法が求められている
認知症の根本的な治療薬は、開発されていない。そのため、薬を飲めば治るといった簡単な医療は成り立たない。患者の「生活の質」を高めるために、本人の主観的な評価が重要となる。
介護する側が患者の気持ちを理解することが、より良い介護につながる。しかし、進行した認知症の患者では自己評価が困難な場合が少なくなく、通常のコミュニケーションは難しくなる。
そこで研究チームは、認知症患者の「生活の質」を評価するための31項目にもおよぶ詳細な客観的スケールを2002年に開発。それから10年余りをかけて、より簡便で、患者の「笑顔」や「喜び」といった、陽性の感情に焦点を当てた9項目の客観的評価スケールを開発した。
これまで開発されてきたスケールは、主に知的機能や生活能力を評価するもので、患者の気持ちを評価しようとするものはなかった。また、評価項目数が非常に多く、日常の介護の現場で使用することは難しいという欠点があった。
新たに開発したスケールでは、「笑顔」や「喜び」といった陽性の感情と、「怒り」や「叫び」といった陰性の感情に焦点を当てている。
「楽しそうである」「自分から人に話しかける」「怒りっぽい」などの9項目に、4段階で答えるだけで得点が出る。
「開発したスケールを用いることで、認知症が進んだ患者でも、生活の質を客観的に評価できるようになる。評価項目が少ないため、多忙な介護の現場でも比較的容易に使用できます」と、スケール開発の中心となった寺田准教授は述べている。
認知症患者の「生活の質」を簡便に評価するスケール(一部抜粋)
A 陽性項目
・楽しそうである
・食事を楽しんでいる
・身内や知り合いに会うと嬉しそう
・周りの人が活動するのを見て楽しんでいる
・自分から人に話しかける
・仕事やレクリエーション活動について話す B 陰性項目
・怒りっぽい
・物を乱暴に扱う
・大声で叫んだりする
岡山大学医学部精神科神経科
・楽しそうである
・食事を楽しんでいる
・身内や知り合いに会うと嬉しそう
・周りの人が活動するのを見て楽しんでいる
・自分から人に話しかける
・仕事やレクリエーション活動について話す B 陰性項目
・怒りっぽい
・物を乱暴に扱う
・大声で叫んだりする
(TERA)