2015年05月08日
まばたき回数でニコチン依存体質を診断 まばたきの少ない人は要注意
カテゴリー: 一無(禁煙)
喫煙でニコチン依存症になりやすいかどうかを、まばたきの頻度から推測できる可能性があることが、大阪大学の中野珠実准教授(神経科学)と京都大学の共同研究で明らかになった。
まばたきの少ない人はニコチン依存症になりやすい
研究チームによると、まばたきの頻度の個人差は、脳の主要な神経伝達物質であるアセチルコリンと結合する「ニコチン受容体」の遺伝子タイプの違いで説明できるという。ニコチン受容体は、神経細胞間の情報伝達を媒介しており、ニコチンと結合する。
まばたきの頻度は非常に個人差が大きく、1分間に数回しかしない人もいれば、40回を超える人もいる。これまで回数は脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」が左右するとされてきたが、ドーパミン受容体の遺伝子多型を調べても個人差を説明することはできなかった。
そこで研究では、ドーパミン神経の活動を調節しているニコチン受容体に着目し、遺伝子を構成しているDNAの配列の個体差を示す「遺伝子多型」を調べた。
研究チームは、104名の大学生を対象に遺伝子多型とまばたきの相関を調べた。ニコチン受容体に関係する遺伝子「CHRNA4」の遺伝子多型を調べ、変異が1ヵ所ある47人と、ない57人に映画を視聴してもらった。
その結果、変異があるグループは、ないグループに比べ、まばたきの回数が3割多いことが判明した。
この遺伝子多型は、日本人の半数近くにみられ、アジア人では変異があると喫煙によるニコチン依存症になりにくい傾向があることが報告されている。
「まばたきの頻度からニコチン受容体の遺伝子多型を推測できることがわかりました。まばたきの頻度からニコチン依存症のなりやすさを推定するなど、まばたきは簡便なバイオマーカーとなる可能性があります」と、中野准教授は述べている。
研究成果は、科学誌「Scientific Reports」に3月2日付けで発表された。
大阪大学大学院生命機能研究科 ダイナミックブレインネットワーク研究室Association of a nicotinic receptor gene polymorphism with spontaneous eyeblink rates(Scientific Reports 2015年3月2日)
(TERA)