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近視の発症に関わる遺伝子を発見 市民と研究者が連携するコホート研究

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 京都大学は、近視(近眼)および強度近視の発症に関わる遺伝子変異を発見したと発表した。滋賀県長浜市の1万人の市民が協力して実施されているコホート研究が着実な成果をもたらしている。
強度近視は失明原因の上位 発症機序を解明
 近視はアジア人に多く、日本人の2〜3人に1人が近視であるとされる。近視の中でも特にその度合いが強いものが「強度近視」で、日本人の失明原因の上位5位に入っている。

 近視の原因として、近見作業や遺伝因子などさまざまな要因が考えられているが、いまだに近視を確実に予防する方法は見つかっていない。子供の近視の予防方法としては点眼薬やメガネ、コンタクトレンズが試されているが、その効果は限定的で、一般的に使用されるような段階には至っていない。

 今回の研究成果は、滋賀県長浜市と京都大学医学研究科が連携して実施されているコホート研究「ながはまコホート」よってもたらされたもの。研究チームは9,800人のデータを解析し、遺伝子にみられる変異(一塩基多型=SNP)を比較した。その結果、22番染色体中の遺伝子のひとつであるWNT7BのSNPが近視の発症に影響していることを突き止めた。

 さらに1,000人の強度近視患者のデータを解析したところ、強度近視の発症にも関わっていることも分かった。また、動物実験で角膜と網膜の細胞が出すWNT7Bの量が、近視発症時に変化することも確認した。

 この研究は、京都大学大学院医学研究科眼科学講座の山城健児氏と吉村長久同教授らによるもので、科学誌「Nature Communications」オンライン版に発表された。

 「近視や強度近視の発症機序が解明されれば、近視の治療薬が開発できるようになり、メガネやコンタクトレンズを使わなくても良くなるだけでなく、強度近視による失明も予防できるようになる可能性がある」と、山城氏は述べている。

研究者、市職員、市民が協力しているコホート研究の成果
 ゲノム研究の目的は、疾患を含む種々の形質と遺伝因子や環境因子などの多様な因子との関連や因果関係、それらの相互作用を明らかにすることだ。「ながはまコホート」は、欧米に比べ遅れていたゲノム研究の分野で、日本では先駆的な取り組みとして知られており、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業にも採択された。

 コホート研究は、特定の地域に属する人々を対象に、長期間にわたって健康状態と生活習慣や環境の状態などさまざまな要因との関係を調査する研究。ながはまコホートは、京都大学大学院医学研究科が、遺伝子をはじめとする情報について追跡調査するゲノムコホートが予防医学の発展に不可欠と考えたことに端を発し、2008年に開始された。

 長浜市が選ばれた理由として、一定の人口規模がありながら人口移動が比較的少ない点が挙げられる。これは10年、20年先まで同じ人達を追跡調査するには非常に重要だ。研究者は市民の理解を得るための協議など丁寧な事前準備を重ねている。

 コホート研究では、得られた個人情報が研究目的以外に使われないようにする厳しい管理が必要となる。この研究は、「ながはまルール」と呼ばれるゲノム疫学研究のルールを研究者、医師、市職員、法律専門家、長浜市民の協力で策定するなど、着実な実績を積み重ねている。

京都大学大学院医学研究科眼科学

(TERA)

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