2015年07月31日
「病は気から」は本当だった ストレスはポジティブな行動で打ち消せる
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心理的なストレスは体内の炎症を悪化させ、高血圧や糖尿病、心臓病などのリスクを上昇させることが知られている。ストレスに対しポジティブに対処することが、健康を長続きさせるために重要や役割を担っているという研究が発表された。
ストレス対処行動がうまくいくと炎症を軽減できる
ストレスを感じているときに、ストレスをどう受け止め対応したかを示す「ストレス対処行動」により、炎症状態が変化する可能性があるという調査結果を、ペンシルベニア州立大学の研究チームが発表した。
多くの人は、心理的なストレスを受けた時に、ストレスに対処しようと、ストレス対処行動を起こす。これがうまくいくと、ストレスによる負荷が軽減されることが分かっている。
一方、最近の研究では、慢性的な炎症が続くと、肥満、糖尿病などの生活習慣病や動脈硬化が進行しやすくなることが明らかとなっている。
研究チームは、「良い方向へ解釈しようとする」(ポジティブな解釈)、「解決に向けて懸命に取り組む」(積極的な問題解決)という対処行動をしている人は、炎症の状態が軽い傾向があることを突き止めた。
毎日のストレスは炎症の原因になるが、ストレス対処行動によって軽減できる可能性があるという。
8日間連続でストレスマーカーを調査
研究チームは、872人の成人に8日間連続で血液検査を受けてもらい、ストレスについて電話で毎日インタビューをし、ストレスをどのようなときにどれくらい感じたかを記録した。さらに、その際に感じたことや、ストレス対処行動について報告してもらった。
免疫細胞から分泌されるタンパク質であるサイトカインを調べるIL-6の検査と、炎症が起こると血液中に増えるC反応性タンパク(CRP)を調べる検査を行い、自覚ストレスと対処行動との関連を調べた。
ストレスの内容は、話し合いで解決できない困難な状況、人間関係での問題、差別、ストレスの多い場面を避けられないなど、さまざまだった。
ストレス対処に関して、肯定的な反応と否定的な反応を調べ、ストレスマーカーと比べた結果、ストレス対処は人によってさまざまで、それに応じてマーカーも変化することが判明した。
ストレスに対処できる能力を高めれば炎症反応を抑えられる
「自覚ストレスが高く肯定的に対処できている人ほどストレスマーカーが低く、逆に否定的な感情をもっているとストレスマーカーは上昇しました」と、ペンシルベニア州立大学の高齢医療センターのナンシー シン氏は言う。
ストレスに対しポジティブに対処できている人は炎症マーカーが低く、逆に対処できていない人ほど炎症が引き起こされやすいという。この傾向は男性だけでなく、女性でもみられた。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病や認知機能の低下は、年齢を上昇すると発症率が上昇するが、ストレスも危険因子となることが知られている。
「"病は気から"という言葉の通り、ストレスに対処できる能力を高めることで、体の炎症反応を抑えられる可能性があります」と研究者は述べている。
Keep calm and carry on -- for the sake of your long-term health(ペンシルベニア州立大学 2015年6月8日)Affective Reactivity to Daily Stressors Is Associated With Elevated Inflammation(米国心理学会 2015年6月1日)
(TERA)