2012年06月22日
血栓症の新たな原因を発見 タンパク質異常で血栓症を発症
血液が血管の中で固まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす「血栓症」は、けがなどで出血した際に血液を凝固させるタンパク質の異常が原因のひとつになっていることが、名古屋大大学院医学系研究科のグループの研究で分かった。
血栓症が関わる病気は高齢者に多く、いくつかの要因が重なって起こるが、原因が不明なものも多い。研究グループの小嶋哲人教授は「加齢とともに増加する脳梗塞、心筋梗塞などの血栓性疾患の新しい治療法や予防法の開発につながる成果。超高齢化社会を迎えつつある日本で、社会的意義は大きい」と話している。 けがなどで出血すると、血液を凝固させるプロトロンビンと呼ばれるタンパク質が、トロンビンという酵素に変化し、トロンビンの作用により血管内で血が固まる。一方、トロンビンには、アンチトロンビンと呼ばれる血液の凝固を抑制するタンパク質と結合して凝固を止め、血液が固まりすぎないようにする作用もある。 研究では、家族に血栓症が多い患者に協力してもらい白血球を調べたところ、プロトロンビンの遺伝子が一部変異していることがわかった。研究グループが発見した遺伝子異常をもつ変異型のプロトロンビンは、トロンビンに変化してもアンチトロンビンとほとんど結合せず、血液が凝固し続けて血栓症につながることが判明した。 小嶋教授は「これら血栓性素因の病態解明は、高齢化にともない日本人でも増加傾向にある静脈血栓症や脳梗塞、心筋梗塞などの血栓性疾患で、新しい治療法や予防法の開発につながる」と話している。 新たな遺伝性血栓症の原因を発見(名古屋大学 2012年6月12日)
(TERA)